告別

えっ、パーカー逝去?

いつ?

そんなぁ・・・


 

奇しくも息子の誕生日、1月18日だったらしい。

滅多にバックナンバーは読み返さないのに最近「沈黙」を読み始めたのは蟲の知らせだったのかもしれない・・・。

小気味いいマンネリズムの中、スペンサーとホークそれにスーザンの会話に円熟味が増していくのを楽しみながらシリーズと共に歳を重ねて来た。

新たな物語がもう読めないことはとても寂しいけど、60冊を超える作品はこれから先、目が見えなくなるまで、時々歳年で読み続けていくだろう。

ご冥福を祈ります。

20歳ぐらいの時、「失投」を読み、その後しばらくして、わたせせいぞうの「ハートカクテル」に「初秋」が登場してパーカーを思い出し平成元年に結婚する頃、「蒼ざめた王たち」あたりで刊行ペースに追いついた。

翻訳されている62作品(たぶん?)は完読してるはず?(もし読み残してるのがあったらラッキーなんだけど!)

読書感想文は恥かしいけど、追悼の意をこめてちょっとだけ・・・。

「ユダの山羊」

たぶん唯一の海外出張で後からホークも応援にロンドンに来る。ホテルの廊下のタルカムパウダー・・・「慎重」と「油断しないこと」はこういう事なんだと驚愕し、トンネルを抜けるシーンも何度も読み返したのを覚えてる。現在の自分自身の考え方(受け止め方といった方がいいかもしれない)のベースはこの「ユダの山羊」から多大な影響を受けている。終盤はモントリオールオリンピック会場にホークと共に移動して犯人を追い詰めるが、奇しくも今日はバンクーバーオリンピックの開会式だ。(モントリオールは夏だったっけ?)依頼人ディクスンの深い悲しみに対するスペンサーがCOOL!この時の信頼によりディクスンはこの後3度登場する。シリーズを通してスペンサーはあまり大金を稼がないが今回はいっぱい稼ぐ。(20年ぐらい前に読んでるので記憶が微妙にずれてる可能性大・・・)

 

「キャッツキルの鷲」

冒頭の詩がメルヴィルの白鯨の一説だったような・・・。「地上の小鳥がどんなに高く舞い上がろうとキャッツキル渓谷の底を飛ぶ鷹の方が遥かに高い」みたいな事だったかな?これは俺が会社員時代QCサークル活動でチーム名をキャッツキルの鷲とつけて、サブタイトルにこれを付けたので憶えてる。若い頃(23歳)読んだので三角関係のスーザンがとっても大っきらいだった。今はよ~く理解できるかもしれないので近々再読しよう。FBIとかCIAまで登場するハリウッド映画みたいで、ポールとかレイチェルとかディスクンも出演する大作。スーザン関係意外はとっても面白い。あまりにもスーザンが嫌でしばらくこのシリーズから距離をおいた。

 

「ポットショットの銃弾」

悪友総出演で楽しい!スペンサー、ホーク、ヴィニイ、チョヨ、ボビーホース、フォーテュナト・・・あとひとり誰だっけ?敵方ガンマンとの信頼関係構築の天才スペンサーの本領発揮。ヒッチシリーズ「レゾリューションの対決」に通ずるものを感じる。これにジェッシーストーンシリーズのクロウもいれたかった。敵との信頼関係と言えばマフィアのボス達(ジョウブロス、ジノフィッシュ、トニイマーカス、デルリオ)とも好き嫌いは別にして関係は悪くない。男と男の友情みたいな事ではなく背中から撃つ男かどうか。なのかな?こういったところからも俺は多大な影響をうけているのは間違いない。筋の通った相手ならば考え方の相違で苦手なやつでも信頼出来ることに気が付いた。それは相手も同じなんだということも。

 

最新刊の「プロフェッショナル」が2009年の暮に翻訳刊行されて始めて本国原作の刊行に追いついた。これがいままでのように1年遅れで翻訳されていればこれから発売だったんだろう。でもその間にもう1冊若い頃のスペンサーの話、いわゆるエピソードゼロみたいな1冊があったはず。まあ慌てることはないか。

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心からご冥福を祈ります。